【ブンゲイ実況】川合大祐【BFCバトルアーカイブ】
【川合大祐】(敬省略)
第一回BFC一回戦ファイター
【ファイトスタイル】
自句自壊小説
自句自壊川柳
【BFC作品】
「ニルヴァーナ 川柳一〇八句」
【タイセンE作品】
川柳自句自壊小説 嗅|川合大祐
【書籍】
- 作者:川合大祐
- 出版社/メーカー: あざみエージェント
- 発売日: 2016
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
【ブンゲイ実況】
【わたしのしゅかん的な感想】
僕はBFCに参加するまで川柳をほとんど嗜んで来なかったのだが、いやぁいいもんだね。川合さんの川柳を読んでつくづくそう思った。まあ、何でもありなんだなって。
本選作品のニルヴァーナは一○八句あって煩悩の数を現しているようだ。めちゃくちゃ煩悩。でも、すごい好きな、心にヒットする川柳がいくつかあって楽しい。笑えてくるくらいぜんぜん分からない川柳もあるのに、時折スマッシュヒットしてくるのはなぜだろう。
そう、川合さんの作品には「わからなさ」がある。
僕はこのわからなさが好きで。
なぜかというと、「わからない」ことが書いてあると安心するんだ。得体の知れないものでもいて良いんだって、ほっとできる。そういうやさしさが川合さんの作品にはあると思うな。
タイセンE投稿された「川柳自句自壊小説 嗅」には特にそれを感じる。
これはまあ、作品全体にう○こが散りばめられてるんだけど(同じくタイセンEの伊予夏樹さんもう○こ小説書いていてちょっと面白いと思った)「異形」って感じが全面に出ててひじょーに好みでした。化け物が出てくる異形っていうか、小説のあり方が異形だった。「あっ、こういう世界を考える人がいて(著者について言及するのは野暮かもしれないが。そんなこと言ったらこのブログが野暮の塊だが)こういう世界をきちんと存在していいんだな」と勇気をもらった。
あと、主人公が駄目野郎なのが共感できる。
僕が駄目野郎なので。共感しちゃいますねえ。
それでいて、ヒロイン?的な存在との関係性がね。小説世界が発する強烈なパワーや刺激を、話せないヒロインが「こういう風に、この子は留まり続ける衝動を処理するんだ」って感動した。
感動したねえ。
こういうパワーのある世界を描くとき、それに見あった効果的な文を挿入しようと、我々は躍起になると思うんだが、この小説にはそんな野暮なことなんて無く。大事なことがさらっと描かれつつも、深く心に入り込んでくる文章がつえぇと思った。
停滞する想いと衝動、糞まみれの世界と、異形の者たち。グロテスクな世界観と普遍的な感情。ささやかな気持ちと流れていく想い。楽しかったなぁ。
なんか、俺が小説書きだから小説の方に早口になってしまった。許してくれ。